クスリのよろず屋「雅 (Miyabi)」の見立て

臨床における薬局の役割とは?その在り方を模索しています. コンセプトは「街の臨床疫学者が居る場所」  手法はEBM(Evidence-based Medicine:根拠に基づく医療). 日々の活動・著者の想いなど.

人工知能と表情分析ロボットがヒトにもたらすもの

薬局薬剤師のまさひろです.

ついこの間,YouTubeをだらだらと見ていたら

IBM人工知能であるワトソンとSoftBankのペッパーくんがコラボするなんていう動画を見つけました.

www.youtube.com

 

「なかなか面白い世の中になってきたなぁ」というのがこの動画を見た素直な感想です.

 

知識を底なし沼のように学習・吸収する人工知能と,
ヒトの表情・感情を理解できるヒューマノイドとの夢のコラボレーション.

さて,皆様このようなコラボに対してどう思われるでしょうか.

今日はこのことについてほんの少し掘り下げて考えてみようと思います.

ロボットの発展・発達によって人間は,人間の仕事はどうなうのでしょうか.

おそらく,

「ロボットによって自分たちの仕事が奪われるのでは...?」

なんて考える方も,いらっしゃると思いますし,僕もちょっとだけ思いました.

ただ,そのあとすぐに僕はこの流れは最終的には人間にとって良いものになるだろうと根拠なく予想しております.

それは,

ヒトがより「ヒトにしかできないコト」に注力できると考えているからです.

 

どういうことでしょうか.

 

自分の職場(この場合は薬局)に当てはめて考えてみましょう.

炎上することを承知の上で言いますが,簡単な薬や病気の説明なんて多分今すぐにでも音声を発する何か(ロボットでもなんでも)に代替は可能であると思います.

なので,おそらく服薬指導もペッパーくん(とワトソン)で代用は可能であると僕は思います.

問題はその後です.

患者さんやご家族がその説明だったり,病院でのinformed consentに納得できていればそれで何も困らないと思います(多分).

ただ,その時にペッパーくんが,対応したヒトの表情・感情・発話の様子を読み解いて,それを人間に伝達するという分業を行ってはどうか?というアイディアを思いつきました.

Pepper:
「この人,説明に理解しているように見えるけれど,声のトーンや表情からどこかに疑問だったり不安を持っています.なので,◯◯さん(薬剤師),フォローをお願いします」

といった具合です.

人間は自分が見たいものしか見ないし考えない生き物であるとはどこかの誰かが主張しているものです(誰か出展よろしくでです).なので,ともすれば目の前の患者さんご家族さんの抱える疑問や不安等になかなか気づけないことも,あるでしょう.

そこを,ペッパーくんに補完してもらおうというアイディアです.

ペッパーくんは(完全に下調べなしの推論で言いますが),ヒトの感情の流れや変化は理解できても,その理由を解き明かすことはまだまだ難しいと僕は思っています
(嘘発見器によって嘘は見抜けても,なぜ嘘をつくのかはわからないのと同様に).

そこでようやくヒトの想像力や発想力,または理解力や察する力なりの登場なのではないでしょうか.

どうして不安に思うのか.
どうして納得できないのか.
どうして疑問に思うのか.

そこを解消して,良好な患者-医療者との信頼関係を築くために,画一的・機械的な作業は文字どおり機械に助けてもらえばいいのではないでしょうか.

 

さらに話は飛躍します.

もしかしたら,今後僕らが注力すべきなのは薬の効果や効能といった乾きものの情報整理ではなく,

なぜ薬を飲むのか

薬が効くとはどういうことか

なぜヒトは病気になるのか

そもそも病気とは何か

病気と健康を区別するものは何か

そして,ヒトの幸せとは何か

といった,哲学的な考察と対話を患者さんやご家族さんとすることなのかなと愚考しています.

それこそまさに,ヒトにしかできない営為なのではないでしょうか.

機械に任せられることはさっさと機械に任せて,
それによって生まれた大切な時間を,
もっと有効活用できるようになりましょう.

より高次な思考・対話ができるように,今からでも仕事の内容や流れを再考・再構築したいものです.

より,人間らしく在る為に.

 

ここまで読んでくださったあなたに感謝いたします.

ごきげんよう世界.
今日も良い1日を.

 

[追記]

「病気と健康を分かつもの」に関しては,また記事を改めて考察する予定です.

乞うご期待を.